研究室紹介

大阪経済大学人間科学部 臨床心理学コース

ゼミのテーマは「子どもの心理療法と福祉」です。

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大阪経済大学大学院人間科学研究科臨床心理学専攻

本研究室の研究テーマは、
「自閉症などの発達障害児および被虐待児への精神分析的心理療法の実践および研究」です。

私の専門は、英国対象関係論をベースとした子どもの精神分析的心理療法の実践とその研究にあります。特に、顧問を務める認定NPO法人子どもの心理療法支援会における活動を通じて、自閉症などの発達障害を持つ子どもや虐待を受けた子どもなど、日本では専門的な心理療法を受ける対象にはなりにくい子どもたちのこころのケアの実践を中心に行っています。

また、そういった子どもたちの日々の生活のケアにあたる家族や施設のスタッフが、子どもたちのこころや行動をより良く理解し、より良い援助ができるためのサポートにも力を入れて取り組んでいます。

日本の児童養護施設には、虐待を受けた子どもが多く生活しているにもかかわらず先進諸国の中では‥

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そういった子どもたちのこころのケアにあたる心理専門職員の立場も役割が不明確なままに、その専門性が十分に生かしきれていないという現状があります。このような状況の改善が、私にとってのライフワークであると考えています。 当研究室の大学院生の多くは、こうした子どもたちのこころのケアに関心を持ち、専門的な子どもの精神分析的心理療法の理論について学びながら、児童養護施設等でその実践を行っています。 また、2011年度からは大阪経済大学心理臨床センターを拠点に、発達に何らかのつまずきを持つ子どもたちとその家族に対する「発達相談サービス」を立ち上げ、幼児から高校生まで、幅広い年齢層を対象に、発達相談やこころの悩みに関する相談サービスを提供しています。

実際の研究指導においては…

精神分析理論や子どものこころについて関心を持ち、大学院での研究および臨床トレーニングを求める学生は年々増加しています。しかし、一口に精神分析理論や子どものこころといっても、私たち専門家の領域はより深く分化していますし、それぞれの学生の興味・関心も幅広いものがあります。

そこで、研究指導1年次春学期には、精神分析理論の中でも特に英国対象関係論学派の理論に親しむため、さまざまな文献の講読を行います。自閉症などの発達障害や被虐待児のこころの理解に関しても、英国対象関係論学派の視点を中心に、愛着理論・研究、認知・発達心理学や脳神経科学など、近年精神分析が知見の交流を持つ他分野領域からの視点も豊富に取り入れた、幅広い理解を目指します。それを通して、それぞれの興味・関心が、どのように理論と実践に結びついた研究成果としての修士論文にまとめていくことができるのか、各自の研究テーマの選定を目指します。

また、並行して、ボランティア活動や非常勤心理職等を体験し、心理臨床の実践の世界に触れる機会を持つことが望まれます。

1年次秋学期以降は、各自の選定した研究テーマに基づいて、具体的な研究計画を立て、それぞれの計画日程に添う形で研究をスタートさせます。そして、毎週の研究指導の際に、その進展状況をチェックしながら、必要に応じて計画の変更・調整を行いつつ、最終的に、2年次終了時の修士論文の完成を目指します。

研究方法に関しては、各自のテーマの質により、量的研究か質的研究かが違ってきますが、これまでの修了生は、訪問調査やインタビュー、あるいは心理療法の実践やボランティア活動を通じての事例研究、心理検査を用いた量的・質的研究、または文献研究を主とする理論的研究を行ってきました。

修了後の進路は、やはり各自の興味・関心によりさまざまですが、これまでの修了生は、総合病院の精神科や単科精神病院、児童養護施設等の心理職に就いています。

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大阪経済大学特別研究費による研究活動

2014年度~2019年度「大阪経済大学心理臨床センターにおけるGoal Based Measure活用の試み」

本研究は、大阪経済大学心理臨床センター臨床心理士(本学修了生)および研修員と大学院生の協力を得て、2014年4月より開始しています。本研究の参考となる、英国における実践については、「英国における子どもの精神分析的心理療法の調査・研究の展開‐GBOMの導入‐」大阪経大論集第65巻第1号(2014年5月)にて紹介しています。
こうしたわが国での試みについては、Introducing goal-based outcomes(GBO)measures to Japanおよび Japanese version of the goal-based outcome(GBO) toolとして紹介しています。
2014年度の成果については、「大阪経済大学心理臨床センターにおけるGBOM導入の試み」として、大阪経大論集第66巻第6号(2015年3月)に公表しているほか、2015年9月には、日本心理臨床学会第34回秋季大会にて、「子どもの心理療法の効果測定―Goal Based Outcome Measureを用いた試み」(シンポジウムB)として、2018年6月には日本精神分析的心理療法フォーラム第7回大会にて、「Goal Based Measureの活用可能性と心理療法の効果」(会員企画分科会)として、それぞれ研修員と大学院生とともに口頭発表しています。2017年5月には、「大阪経済大学心理臨床センターにおけるGBOM施行の実際」として、大阪経済大学心理臨床センター紀要第11号にも修了性および研修員と共に報告しています。
大阪経済大学特別研究費の助成を受けての活動は、2019年度をもって終了しましたが、引き続き、大阪経済大学心理臨床センターをベースに、GBOMを活用した子どもの心理療法の効果測定に関する調査・研究活動は継続しています。
最新の研究成果は、「大阪経済大学におけるGoal Based Outcome MeasureとPostivie and Negative Parenting Scaleの活用」として、 大阪経済大学心理臨床センター紀要第14号に公表しています。

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2011年度〜2012年度 「大阪経済大学心理臨床センターにおける発達相談サービスの試み」

本研究は、大阪経済大学心理臨床センター臨床心理士(本学修了生)および大学院生の協力を得て行われました。本研究の成果については、下記の通り公表しております。
なお、大阪経済大学心理臨床センターにおける発達相談サービスは、本研究終了後も引き続き、地域の皆様に向けて継続的にサービスを提供させていただいております。

2010年度「児童養護施設における臨床心理士の活動状況の実態調査より明らかになった課題に対する実践的取り組み」

本研究は、本研究室の研修員(修了生)および大学院生の協力を得て行われました。
本研究の成果については、大阪経大論集第61巻第6号(pp121-132)に、「児童養護施設に勤務する心理士のためのディスカッショングループの試み」として報告しています。

2009年度「児童養護施設における臨床心理士の活動状況の実態調査」

本研究は、本研究室の大学院生の協力を得て行われました。
本研究の成果については、大阪経大論集第60巻第5号(pp87-96)および大阪経大論集第60巻第6号(pp241-252)に、それぞれ「児童養護施設における臨床心理士の活動状況の調査および今後の課題I」、「児童養護施設における臨床心理士の活動状況の調査および今後の課題II」として報告しています。

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科学研究費等による研究活動

  • 2012年-2014年
    文部科学省研究 研究協力
    基盤研究C 『子どもの知る権利擁護におけるライフストーリーワークのあり方』
    Richard Rose 講師(CTIS) Rachel Olive講師(SACCS)による2daysワークショップ通訳
  • 2009年-2011年
    文部科学省研究 研究協力
    基盤研究C 『子どもの知る権利擁護におけるライフストーリーワークのあり方』
    Christos Christophides講師(BAAF)による2daysワークショップ通訳
  • 2007年-2009年
    厚生労働科学研究 研究協力
    政策科学総合研究事業(政策科学推進研究事業)研究協力
    『子ども家庭福祉分野における家族支援のあり方に関する総合的研究』
    平成21年度 報告書分担執筆「児童養護施設入所後の子どもの心のケア」
  • 2007年-2008年
    大阪府すこやか家族再生応援事業 研究協力
    『性非行児童の治療養育に関する研究』
    オクラホマ大学Barbara L. Bonner教授による2days講演・セミナー
    「性非行児童および少年の理解と治療教育」 通訳
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